改めて読み直した「Q&A」。こんなにわかりにくいQ&Aは、めずらしい
今年も、処遇改善加算の計画書作成が、まもなく始まります。
1月20日の時点で、令和7年度の詳細が公表されていないので、
予習の意味で、令和6年度の要領や様式に目を通してみました。
読んでみて、とてつもなく複雑なしくみであることを、改めて認識したわけですが、
「これはひどい!」と痛感したのが、Q&Aです。
Q&Aは一般的に、難しいことを分かりやすく伝えるためのもの。
しかし、処遇改善加算のQ&Aは、まったくその原則に従ってなくて、驚いてしまう。
介護保険のQ&Aの1問目は、こんなふうに書かれています。
「介護職員 等 処遇改善加算 等 に関するQ&A (第3版) 」から引用します。
問
1- 1 賃金改善の基準点はいつの時点になるのか。
(答)
・「介護職員等処遇改善加算等に関する基本的考え方並びに事務処理手順及び様式例の提
示について」(老発 0 315 第1号 令和6年3月 15 日厚生労働省老健局長通知)(以下「通
知」という。)において、 介護職員等処遇改善加算(以下「新加算」という。)、介護職員
処遇改善加算(以下「旧処遇改善加算」という。)、介護職員等特定処遇改善加算(以下「旧
特定加算」という。)及び介護職員等ベースアップ等支援加算(以下「旧ベースアップ等
加算」という。 以下、旧処遇改善加算、旧特定加算、旧ベースアップ等加算を合わせて
「旧3加算」という。)を算定する介護サービス事業者又は介護保険施設(介護予防・日
常生活支援総合事業の事業者を含む。以下「介護サービス事業者等」という。)は、新加
算等の算定額に相当する介護職員その他の職員の賃金 (基本給、手当、賞与等(退職手当
を除く。以下同じ。)を含む。)の改善(当該賃金改善に伴う法定福利費等の事業主負担の
増加分を含むことができる。以下「賃金改善」という。)を実施しなければならないとし
ている。
・賃金改善の額は、新加算 及び旧3加算(以下「新加算 等 」という。) を原資として賃金
改善を実施した後の実際の賃金水準と、新加算等を算定しない場合の賃金水準との比較
により、各介護サービス事業者等において算出する。新加算等を算定しない場合の賃金水
準は、原則として、初めて新加算等又は交付金等(平成 21 年度補正予算による介護職員
支援交付金並びに令和3年度及び令和5年度補正予算による介護職員処遇改善支援補助
金をいう。以下同じ。)を算定した年度の前年度における賃金水準とする。
・ただし、介護サービス事業者等における職員構成の変動等により、初めて新加算等又は
交付金等を算定した年度の前年 度における賃金水準を推計することが困難な場合又は現
在の賃金水準と比較することが適切でない場合は、新加算等を算定しない場合の賃金水
準を、新加算等を除いた介護報酬の総単位数の見込額に基づく営業計画・賃金計画を策定
した上で試算する等の適切な方法により算出し、賃金改善額を算出することとしても差
し支えない。
・また、介護サービス事業所等(介護サービス事業所又は介護保険施設(介護予防・日常
生活支援総合事業の事業所を含む)。以下同じ。)を新規に開設した場合については、新加
算等を算定しない場合の賃金水準を、新加算等を除い た介護報酬の総単位数の見込額に
基づく営業計画・賃金計画を策定する等の適切な方法により算出した上で試算する等の
適切な方法により算出し、賃金改善額を算出することとしても差し支えない。
以上、あえて全文を引用しました。
いたるところに、( )で注釈が挿入され、とても読みづらい。
障害福祉のQ&Aも、ほぼ同様です。
小規模の介護事業所では、社長が自ら介護業務を行い、
夜、疲れた頭で事務をこなしています。
そんなお疲れの人が、この文章を読んで理解できるだろうか?
処遇改善加算の基本的なことは、
「介護職員等処遇改善加算等に関する基本的考え方
並びに事務処理手順及び様式例の提示について」
という書類に書かれています。
しかし、この書類は60ページもあって、読むのが大変。
そこで、すがる思いでQ&Aのページをめくったら、
1問目から、この難解さです。
厚生労働省は、現場、とくに小規模事業所へ、もう少し配慮してほしい。
ちなみに、Q&A1問目を要約すると、こんな感じになります。
①処遇改善加算は全額「賃金改善」に充てる
②賃金改善の額は、次の(a)(b)を比べて算出する
(a)加算を使って改善を行った後の賃金水準
(b)加算を取らない場合の賃金水準
③上記(b)は原則、「初めて処遇改善加算・交付金を取った年度の前年度の賃金水準」とする。
例外として、適切な方法により算出した賃金水準とする。
「これでもよくわからない!」
そんな声が聞こえてきそうだが、そのくらい処遇改善加算は複雑怪奇なのです。
もっとかみ砕くと、初めて処遇改善化を取った年の前年度、
つまり、処遇改善加算を取っていなかった時の賃金水準を「土台」とする。
そして、処遇改善加算を使って、この「土台」よりも賃金をアップする、ということになる。
しかし、初めて処遇改善加算を取った年というのは、
最も古いケースだと、「平成 21年度補正予算による介護職員支援交付金」です。
16年も前です。
当然、その頃とは、職員数や人員構成が違うだろうし、
そもそも、そんな昔の賃金水準なんて、推計ができるだろうか。
そこで、「例外」が認められているわけです。
ただ、例外を使うには次の条件があります。
新加算等を除いた介護報酬の総単位数の見込額に基づく営業計画・賃金計画を策定
した上で試算する等の適切な方法により算出する。
営業計画って何?
賃金計画って何?
小規模事業所に、そんなめんどうを課すの?
まあ、「~等の適切な方法により算出する」とあるので、
その他、適切な方法であればOKなんですね。
では、何をもって「適切な方法」とするのか?
おそらく、厚生労働省も自治体も、具体的な答えは持ち合わせていないでしょう。
私は、「一定の合理的な説明ができる根拠」があればOK、と考えています。
いやはや、令和7年度の計画書作成を前に、気が重くなってしまいました(-_-;)
1月20日の時点で、令和7年度の詳細が公表されていないので、
予習の意味で、令和6年度の要領や様式に目を通してみました。
読んでみて、とてつもなく複雑なしくみであることを、改めて認識したわけですが、
「これはひどい!」と痛感したのが、Q&Aです。
Q&Aは一般的に、難しいことを分かりやすく伝えるためのもの。
しかし、処遇改善加算のQ&Aは、まったくその原則に従ってなくて、驚いてしまう。
介護保険のQ&Aの1問目は、こんなふうに書かれています。
「介護職員 等 処遇改善加算 等 に関するQ&A (第3版) 」から引用します。
問
1- 1 賃金改善の基準点はいつの時点になるのか。
(答)
・「介護職員等処遇改善加算等に関する基本的考え方並びに事務処理手順及び様式例の提
示について」(老発 0 315 第1号 令和6年3月 15 日厚生労働省老健局長通知)(以下「通
知」という。)において、 介護職員等処遇改善加算(以下「新加算」という。)、介護職員
処遇改善加算(以下「旧処遇改善加算」という。)、介護職員等特定処遇改善加算(以下「旧
特定加算」という。)及び介護職員等ベースアップ等支援加算(以下「旧ベースアップ等
加算」という。 以下、旧処遇改善加算、旧特定加算、旧ベースアップ等加算を合わせて
「旧3加算」という。)を算定する介護サービス事業者又は介護保険施設(介護予防・日
常生活支援総合事業の事業者を含む。以下「介護サービス事業者等」という。)は、新加
算等の算定額に相当する介護職員その他の職員の賃金 (基本給、手当、賞与等(退職手当
を除く。以下同じ。)を含む。)の改善(当該賃金改善に伴う法定福利費等の事業主負担の
増加分を含むことができる。以下「賃金改善」という。)を実施しなければならないとし
ている。
・賃金改善の額は、新加算 及び旧3加算(以下「新加算 等 」という。) を原資として賃金
改善を実施した後の実際の賃金水準と、新加算等を算定しない場合の賃金水準との比較
により、各介護サービス事業者等において算出する。新加算等を算定しない場合の賃金水
準は、原則として、初めて新加算等又は交付金等(平成 21 年度補正予算による介護職員
支援交付金並びに令和3年度及び令和5年度補正予算による介護職員処遇改善支援補助
金をいう。以下同じ。)を算定した年度の前年度における賃金水準とする。
・ただし、介護サービス事業者等における職員構成の変動等により、初めて新加算等又は
交付金等を算定した年度の前年 度における賃金水準を推計することが困難な場合又は現
在の賃金水準と比較することが適切でない場合は、新加算等を算定しない場合の賃金水
準を、新加算等を除いた介護報酬の総単位数の見込額に基づく営業計画・賃金計画を策定
した上で試算する等の適切な方法により算出し、賃金改善額を算出することとしても差
し支えない。
・また、介護サービス事業所等(介護サービス事業所又は介護保険施設(介護予防・日常
生活支援総合事業の事業所を含む)。以下同じ。)を新規に開設した場合については、新加
算等を算定しない場合の賃金水準を、新加算等を除い た介護報酬の総単位数の見込額に
基づく営業計画・賃金計画を策定する等の適切な方法により算出した上で試算する等の
適切な方法により算出し、賃金改善額を算出することとしても差し支えない。
以上、あえて全文を引用しました。
いたるところに、( )で注釈が挿入され、とても読みづらい。
障害福祉のQ&Aも、ほぼ同様です。
小規模の介護事業所では、社長が自ら介護業務を行い、
夜、疲れた頭で事務をこなしています。
そんなお疲れの人が、この文章を読んで理解できるだろうか?
処遇改善加算の基本的なことは、
「介護職員等処遇改善加算等に関する基本的考え方
並びに事務処理手順及び様式例の提示について」
という書類に書かれています。
しかし、この書類は60ページもあって、読むのが大変。
そこで、すがる思いでQ&Aのページをめくったら、
1問目から、この難解さです。
厚生労働省は、現場、とくに小規模事業所へ、もう少し配慮してほしい。
ちなみに、Q&A1問目を要約すると、こんな感じになります。
①処遇改善加算は全額「賃金改善」に充てる
②賃金改善の額は、次の(a)(b)を比べて算出する
(a)加算を使って改善を行った後の賃金水準
(b)加算を取らない場合の賃金水準
③上記(b)は原則、「初めて処遇改善加算・交付金を取った年度の前年度の賃金水準」とする。
例外として、適切な方法により算出した賃金水準とする。
「これでもよくわからない!」
そんな声が聞こえてきそうだが、そのくらい処遇改善加算は複雑怪奇なのです。
もっとかみ砕くと、初めて処遇改善化を取った年の前年度、
つまり、処遇改善加算を取っていなかった時の賃金水準を「土台」とする。
そして、処遇改善加算を使って、この「土台」よりも賃金をアップする、ということになる。
しかし、初めて処遇改善加算を取った年というのは、
最も古いケースだと、「平成 21年度補正予算による介護職員支援交付金」です。
16年も前です。
当然、その頃とは、職員数や人員構成が違うだろうし、
そもそも、そんな昔の賃金水準なんて、推計ができるだろうか。
そこで、「例外」が認められているわけです。
ただ、例外を使うには次の条件があります。
新加算等を除いた介護報酬の総単位数の見込額に基づく営業計画・賃金計画を策定
した上で試算する等の適切な方法により算出する。
営業計画って何?
賃金計画って何?
小規模事業所に、そんなめんどうを課すの?
まあ、「~等の適切な方法により算出する」とあるので、
その他、適切な方法であればOKなんですね。
では、何をもって「適切な方法」とするのか?
おそらく、厚生労働省も自治体も、具体的な答えは持ち合わせていないでしょう。
私は、「一定の合理的な説明ができる根拠」があればOK、と考えています。
いやはや、令和7年度の計画書作成を前に、気が重くなってしまいました(-_-;)